東洋医学

自律神経失調症って何?

「自律神経失調症」とは、内臓など器官に異常が認められないにもかかわらず、自立神経の機能が適切に働かずにおこる多くの症状に対して名づけられた病名です。

頭痛、肩こり、冷え・のぼせ、不眠、イライラ、鬱、動悸、めまい、だるい、便秘・下痢など多彩な症状がみられます。西洋医学的検査で異常が認められないため、「神経だ」と言われている人も多く、検査なしに「更年期障害」と診断されている人もいます。しかし、最近、血液検査で白血球を調べることによって自律神経のバランスを知ることがある程度可能になりました。

思い当たる方は、本当に「自律神経の異常なのか?」をぜひ一度確かめて下さい。

治療には、抗不安薬、抗うつ剤なども使われますが、漢方治療、ハリ治療も大変有効です。つらい症状をあきらめずに、治療を受けてみてください。

のぼせ・ほてり・汗っかき

暑くなってきました。この時季、異常な体熱感を訴えるひとが多くなります。
体のほてり、のぼせ、多汗などの訴えです。この状態は西洋医学では、更年期障害、自律神経失調などの診断ですが、適切な治療法はあまり多くありません。東洋医学的には、体が熱をもつ体質(熱症)、冷えがあるけどのぼせる状態(冷えの変形)、時々かっとのぼせる(気逆、気功の気)などの診断があり、服用する漢方も全く違ってきます。その上同じ診断でも、体力がある人とない人では薬が違います。また、ほてる場所が全身なのか、顔だけなのか、手・足なのか、汗をかくのか、のどが渇くのか、水をたくさん飲むか飲まないか、などによっても治療法が変わってきます。

漢方は多くの成分からできているので、冷えている部位は血流をよくして暖め、ほてる部位は余分な熱をとるというような、アクセルとブレーキを両方同時に発揮することができるのです。面白いですね。

イライラ、不眠

「最近イライラがひどく、夜も熟睡できない。」という訴えが多くあります。イライラが抑えられず、つい回りにあたったり、逆に我慢して内にため込んで、心の病になったりする場合もあります(日本人に多い)。一般には安定剤、眠剤が処方されますが、安定剤をのむと眠くなる、体がだるい、また、眠剤を続けてのみたくないという方も結構います。

漢方では、激しやすいタイプと、ため込んでしまうタイプでは違う薬が出ます。また、不眠も、なかなか寝付けない「気」の循環が悪くなったタイプ、夜中に何度も目が覚める「血」のめぐりが悪いタイプ、朝早く目が覚めて眠りが浅いタイプなどに分けられ、それぞれ薬が違ってきます。

西洋薬の眠剤のように飲むとすぐ眠くなるというものではありませんが、かなり「速効性」が期待でき、数日でイライラも不眠も解消されることがよくあります。まずはがんばり過ぎず、自分に「休暇」を与えてあげることです。

ストレスによる女性の病気と漢方

ストレスによる病気といえば、胃腸病、自律神経失調、心の病などが最初に思い浮かぶと思いますが、婦人科の多くの病気にストレスが関係していると言われています。

更年期障害、月経周期異常、月経困難症、PMS(月経前緊張症)、機能性子宮出血、不妊症などなど。脳下垂体の腫瘍など西洋医学的に原因が究明できる場合もありますが、多くの場合は原因不明でホルモン治療の適応になります。

漢方では、精神的・身体的ストレスにより「気の異常」、「血流の異常」、「水分代謝の異常」が起こると考えて、ひとりひとりに何の異常があるか判断しこれを治していきます。

同じ病名でも人により細かい症状が違い、症状により薬が違います。同じ症状でも、体力のある人とない人では薬が違ってきます。適切な西洋医学的検査を行い原因が確定できない場合は、漢方治療を試してみる価値があると思います。また、漢方は即効性がないということはなく、的確な薬であれば数日から数週間で症状の改善が認められます。